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ナースの人生が変わる!?「ビューティーフード」とは?
カラダクリニック銀座・院長の関由佳先生を招き、ナースのライフスタイルに合わせた「美と健康」のための食事についてお話しいただきました。

「慢性疲労」73.6%、「健康に不安」60%、「強いストレスがある」67.2% これは日本医療労働組合連合会が行った看護職員の労働実態調査(2013年)の結果です。

「本当は元気でイキイキと働いて、家族も欲しいし、女性としても美しくありたい。余裕のある時間を使って人生をもっと楽しみたい」
そんなナースの声を代表して、ナースを元気にしようとプログラムを企画している「Nurse Happy Collection」とゲンキ還元プロジェクトが協力をして「ナースハッピーセミナー」を開催しました。

第1回目のテーマは「ビューティーフード」。
講師にお迎えしたのは、カラダクリニック銀座・院長の関由佳先生です。

関由佳先生
カラダクリニック銀座 院長。内科医、misoドクター、Foodoctor、Medical Chef。専門は内科、予防医学。米のシアーズ博士のもとでZONEダイエットを学び、日本人に合わせた食事バランスガイドを制作。ダイエット外来や糖尿病治療にそのメソッドを応用した独自の栄養指導を開発。薬でなく食べ物で予防するオーダーメイド栄養療法を実践中。

関先生が院長を務めるカラダクリニックの治療方針は「薬を一切使わないこと」。治療で使うのは「食べ物」です。慢性的なじんましん、花粉症、糖尿病、精神的な疾患など、食事のケアを中心に治療を行っているそうです。

そんな関先生が看護師のために選んだテーマが「ビューティーフード」。ストレスの多い職場環境で、美肌のためにはもちろん、体の中のストレスをコントロールし、細胞を守る秘訣をお話くださいました。

ここではセミナーでお話しいただいた内容から、大事なポイントを抜粋して紹介したいと思います。

美肌をつくるために大切なのは「抗酸化ネットワーク」

関先生のお話の中で、肌の老化を促す2つのキーワードが出てきました。「酸化」と「糖化」です。
「酸化」とは、体に必要な酸素の一部が体内で活性酸素に変化し、細胞を攻撃してしまうことです。本来、人の体はこの酸化を防ぐ作用が働きます。その役割を果たすのが、抗酸化作用のある栄養素です。ですが、食事内容が偏ってしまったり、活性酸素を多く発生させるストレスのある環境にいると、酸化が進んでしまいます。

もうひとつの「糖化」とは、血糖値が高い状態が続くことで体の中でたんぱく質と糖がくっついて、AGEs(糖化最終生成物)という物質が発生してしまうことです。このAGEsが蓄積すると、遺伝子にダメージを与え、老化や疾病につながると言われています。

これらの「酸化」と「糖化」を避けられる薬はなく、唯一対策できるのは「食べ物」なのだそうです。

まず、酸化を防ぐ物質についてお話がありました。
活性酸素には、スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロラキシラジカル、一重項酸素など、いくつかの種類があります。これらの活性酸素による酸化を防ぐには、抗酸化物質を摂取することが重要なのですが、1つの抗酸化物質がすべての活性酸素を消去するわけではありません。活性酸素ごとに対応する抗酸化物質があります。
例えば、脂溶性のコエンザイムQ10やビタミンEは細胞膜で働き、水溶性のビタミンCなどは細胞質で働きます。体内で抗酸化ネットワークをつくって体を守っているのです。ですから、抗酸化作用のある主な栄養素を意識して組み合わせて摂取するのがおすすめです。

<抗酸化作用のある主な栄養素はこちら>
コエンザイムQ10(還元型)
ビタミンEを再生しながら、助け合って働いている。
お肉、魚、緑黄色野菜、卵、大豆などに含まれる
α−リポ酸
体の有害なミネラルを排出させる機能がある。
ビタミンC、Eを再生させる作用がある。
ビタミンE
身近なビタミンのひとつ。脂質の酸化をブロックする。
天然と合成で働きが違い、天然の吸収率は合成の2倍以上。米ぬか、ナッツ、うなぎ、オリーブオイルなどに含まれる。なるべく食材から摂取してほしい栄養素。
ビタミンC
現代人は毎日摂ってもらいたい栄養素。
鉄、たんぱく質と一緒に摂ることでコラーゲン生成が促進。
美肌、風邪予防のためには1000〜2000mgの摂取が望ましい。
ペットボトルの水にビタミンCを溶かし、水分と一緒にこまめに摂ると効果的。
グルタチオン
体内で作られるが減ってくると、肝臓の解毒作用が低下。
緑黄色野菜、レバー、魚介類などに含まれる。

食べる内容量と順番を手のサイズで覚えること!

次に「糖化」対策についての食事法をアドバイスいただきました。
関先生が糖尿病患者さんに食事指導をしているとき、食事の調査をしたところ、下記のような内容だったそうです。

7〜8割 炭水化物
2割 脂質
1割以内 たんぱく質
(関由佳先生調べ)

自分で気づかないうちに、手軽に食べられるものを長年食べ続けることで病気になってしまうのだと、改めて実感したとお話がありました。

肌の老化に限らず、疾病につながる「糖化」を防ぐ、具体的な食事法はこちら!

1. まず手のひら一杯にこんもり載るぐらいの野菜を最初に摂る。
2. 次に手のひら1枚分の厚さと大きさぐらいの肉、魚、卵、豆腐を摂る。
3. 最後に手のグーのサイズの糖質を含むごはん、パン、麺、芋類、果物類を摂る。

これらを毎食、意識して行う。
洋食でも和食でも、天ぷらでも、何を食べてもOK。
ただし、順番は野菜からで厳守。
もし、スイーツを食べたかったら、グーの中のご飯か麺類などを減らして、そこにスイーツを入れる。

「これを実践すると、1ヶ月で数値が変化しますし、まず肌が明るくなったという声をよく聞きます。食事は生きるために、だれもが継続していかないといけないことですから、ぜひ実践してみてください」

具体的なアドバイスに参加者から次々と質問があがりました。

Q.ストレスで甘い物を食べたくなったら?
A.血糖値を急上昇させないことは注意して欲しいので、できれば食後に。

Q.夜勤中、夜中の2、3時に食べたくなるとき、おすすめのものは?
A.ナッツ類。ココナッツの乾燥させたもの(カレーパウダー、七味などをまぶしてオーブンで焼くと味が楽しめる)。ささみの燻製の真空パックなど。

Q.夜勤明けで肌荒れが気になるときに摂ったほうがいいものは?
A.ビタミンC、 E、B群など。

Q.おにぎりだけで済ませてしまうことが多い。足りていないですか?
A.おすすめは豚汁。手作りしたものを保温ジャーに入れておにぎり前に飲むといい。味噌は抗酸化ネットワーク力が高く、腸内環境も良くなる。

Q.ストレスでお腹の調子が悪くなるときは、何を食べればいい?
A.体からの何らかのサインなので、1食休む、もしくは、量を抑える。具無しの味噌汁などはおすすめ。サプリメントは乳酸菌がおすすめ。

関先生は、サプリメントも食材のひとつだと考えているそうです。
「今は野菜に含まれる栄養素も減ってきています。食材で足りていないものを補ったり、強いストレスを感じたり、肌の調子が悪いと思ったときなど、抗酸化ネットワークを意識して組み合わせるようにしています。自分の体は自分で守っていきましょう」

「忘れられた栄養素」とは?

続いて、今回のテーマ「抗酸化ネットワーク」の物質のひとつでありながら、栄養指導から「忘れられた栄養素」について、理学博士の藤井健志先生にお話しいただきました。

藤井健志先生
金沢大学理学研究科生物化学修士課程終了。鐘淵化学工業株式会社(現:株式会社カネカ)に入社後、医薬品の開発研究に従事。抗生物質の研究により、金沢大学で博士(理学)を取得。コエンザイムQ10(還元型)の生理活性研究を進め、サプリメント素材として開発。学術として研究を推進する傍ら、健康をエネルギーの観点から考察する講演等も行っている。

藤井先生のお話によると、「抗酸化ネットワーク」のひとつでもあり、体内でとても重要な働きをしているのに、的確な栄養指導が及んでいない物質があるそうです。

それがコエンザイムQ10(還元型)です。
その理由を教えてくれました。

コエンザイムQ10は発見当時、生きるために必須な物質なので「ビタミンQ 」という名前がつきました。ところが研究が進んで、体の中でつくられる物質ということがわかりました。ビタミンの定義は、「体の中でつくられないもの」です。ですから、名前はコエンザイムQ10に戻りました。ビタミンでなくなると、栄養学は「体の中でつくられるからいいでしょう」ということで見向きもしなくなります。

ところが、血液中のコエンザイムQ10濃度を調べると、半分は生合成(体の中でつくられる)でできたもの、半分は食べ物の中にあるコエンザイムQ10がそのまま使われているものだとわかりました。

日本人の場合は、食べ物から摂るコエンザイムQ10のうち、4割が肉、2割が魚、1割が野菜に依存しています。

加齢や偏食により、肉や魚をあまり食べなくなると食べ物から摂取していたコエンザイムQ10が減ります。また、加齢によって、体の中でコエンザイムQ10(還元型)をつくる能力も衰えてくるため、体内のコエンザイムQ10(還元型)の量は減るのです。

つまり、ビタミンと同様に生きるために必須の物質なのにも関わらず、加齢や偏食などによって減ってしまっていても、積極的に栄養指導されていない現状があるのです。

コエンザイムQ10(還元型)が生きるために必須の理由は、私たちの内臓や筋肉を動かすエネルギーを生み出すために必要な物質だからです。エネルギーを生み出す量が少なくなると、関先生のお話にあったようにストレスなどの影響で酸化などが起こったときに、メンテナンスする機能が衰えます。結果、老化や疾患につながるのです。

老化や疾患につなげないためには、コエンザイムQ10(還元型)の量を増やすことです。

体内で直接使われるのは、“還元型”コエンザイムQ10

コエンザイムQ10には2種類あります。
「酸化型」と「還元型」です。

例えば、食べ物に含まれるコエンザイムQ10を見てみると
牛もも肉 総CoQ10量30.3のうち、還元型5.36 酸化型25 (還元型17.7%)
豚肩肉 総CoQ10量45のうち、還元型12.6 酸化型12.4 (還元型50.4%)
ブリ 総CoQ10量12.8のうち、還元型6.3 酸化型6.6 (還元型49.2%)
ハマチ 総CoQ10量33.4のうち、還元型20.9 酸化型12.5 (還元型62.6%)
(藤井健志先生作成 単位μg/g wet)

このように、「酸化型」と「還元型」が含まれているのですが、エネルギーを生み出すために使われるのは「還元型」の方です。
「酸化型」は体内で「還元型」に変換されてから活用されるようになります。

実はここでも、加齢が影響しています。「酸化型」を「還元型」に変換するためのエネルギーが低下するので、「酸化型」を摂っても活用されない場合があるのです。上の表にあるように、ハマチが年をとってブリになりますが、コエンザイムQ10の総量も還元型の量もハマチの方(若い方)が多いです。魚も人間も同じなのですね。

つまり、体内で活用するためには「還元型」コエンザイムQ10を摂るほうが効率的なのです。

バランスや組み合わせ、食べ方などしっかり見直して取り組みたい!

2時間のセミナー内容のポイントを抜粋してご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

今回セミナーに参加いただいた看護師のみなさんからは、参考になったという声をいただきました。

セミナーに参加いただいた看護師のみなさん(左から長澤莉奈さん、八木沢実香さん、千葉朋さん、大川芳乃さん)

「仕事をして、自分の健康がいちばん大切だと思った。予防医学の視点からの食生活の話はとても参考になった」

「忙しい中、手軽さもあって、おにぎり等、炭水化物中心の食事になっていることに気づいた。味噌汁など、できることから実践していきたい」

「バランスが大事だと思っていても、ついコンビニでカレーやパスタなどの炭水化物中心の食生活になっていた。栄養素の具体的な作用や組み合わせなど、勉強してこなかった分野で、とても参考になった。食事と健康の関係を自分のこととして見直していきたい」

最後にナースハッピーコレクションの土屋さんからひとこと。
「看護師の仕事は、身体的にも精神的にもストレスがかかりやすい環境にあります。今日のセミナーで得たものを実践していただき、患者さんの指導へもつなげていただけたらと思っています」

ご覧のみなさんもぜひ、実践してみてくださいね!